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翡翠様への捧げものになります。
前後編とちょっと長くなりました、
藤ルル+四聖剣ということでしたが・・・これでどうでしょう?
返却書きなおし要請可とさせていただきます
『お願いっ、鏡志朗さんに言わないでっ』
滅多に泣いたりしない皇子の目に今にもこぼれんばかりの涙があふれていた。
この場に藤堂がいないことを卜部や仙波は心の底から感謝していた。
『そんなことよりも、先に手を放して』
『そんなに握りしめては手に傷が』
朝比奈と千葉は手に血を滲ませているルルーシュの手をこじ開けようとさせるがルルーシュはかたくなに手を握り締めたままだ。
ポツリ、ポツリと赤いシミが地面に吸い込まれていく。
ヘタりこんでいたルルーシュの膝の上にも緋がポツリと映えた。
『わかったよ、壊れたことは言わねえから。』
『硝子片はここに入れておくとよい。』
強く握りしめられたルルーシュの手を仙波がゆっくりと開かせて、ハンカチに包んだ。
『鏡志朗さんに・・・言わないでぇ』
蝉の声に混ざって泣き出しそうな高い声が響いていた。
*****
いつになくゼロが必死な様子で主に下の方へ目線を向けながら団内を忙しくなく歩きまわっていた。
時々ガツンッコツンッゴヅッと結構大変な音を立てながら歩き回るゼロは正直不気味だ。
末端部員の多くがいったいどうしたのだろうかと遠巻きに見守り幹部たちも声をかけようという気にはなれずにやはり遠巻きに見守っていた。
だが・・・これはたぶん声をかけなければいけないのだろう。
真っ先に動いたのは藤堂だった。
「ゼロ、何か失せ物か?」
「とっ・・・な、なんでもない。」
絶対になんでもなくはない反応だ。
ゼロは必死で藤堂と距離を取ろうと後ずさりこけそうになりながら転がるように逃げ出していた。
声をかけたのにこれではいささか気分が悪いというものだ、だが見られたくないものなのだろう、これが玉城なら絶対に納得せず罵言雑言の嵐だ。
そのゼロと入れ違うように難しい顔をした四聖剣がラウンジへと入ってきた。
「中佐、ちょっといいですかい?」
深刻な顔をした卜部にただ事ではないと感じたのだろう、藤堂はゼロのことはそれまでにして部下たちの方へ足を向けた。
「なんだ・・・」
黙りこくったまま、四聖剣は藤堂を人気のない格納庫へと連れて行った。
「それで、いったい何なんだ。」
「ゼロのことで・・・」
「・・・」
やはりか、というように藤堂は眼を伏せた。
「さっきこんなものを拾ったんです。」
千葉が見せたのはひもの付いた守り袋程度のサイズの紫色の巾着だった。
いや、紐はずいぶんと劣化していてところどころ擦り切れ途中で切れてしまっている。
「なんだ・・・?」
「中佐には言っていなかったのですが、これはワシらがあの子に託したものでしてな・・・」
「そしていま、必死で何かを探すゼロ・・・なぁんか臭いと思うんですよねぇ」
千葉の手から仙波が巾着を取り中身を手のひらにあけた。
こぼれ出てきたのは血の染みがこびりついた硝子片・・・。
その硝子片の元の姿に覚えがあった藤堂は息をのんだ。
「中佐には言っていなかったんですが・・・道場に通っていた子供たちに壊されてしまったんです。」
「壊されたと絶対に中佐には言わないでくれって言われちまって黙っていたんですが・・・あの子が持っていたはずのこれがこんなところにあるってことは」
「ゼロが・・・彼だと?」
「そうじゃなかったら・・・ゼロは・・・」
朝比奈はその先の言葉を飲み込んだ。
その言葉の先を読み、藤堂は眉間にしわを寄せた・・・。
仙波は硝子片を巾着へ戻し藤堂の手に渡した。
「そうではなかったとしても、ゼロは彼を知っています・・・必ず。」
藤堂は巾着を握りしめ、ゼロを探すために格納庫を後にした。
後篇に続きます。
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福岡にオタク友達がいなくて偶に鬱々してます。
寂しいと死にはしませんが不貞寝します。
空を自由に飛びたいなぁなんて夢を持っています。
いつかパラグライダーかハンググライダーをする気でいます。
マイペース、ケセラセラを心情に頑張って生きています。