★ がんばりました

泌尿器科は無理なので小児科で。
これで勘弁して下さい臣さん

町医者な卜部です

医者なんてなりたくてなったわけでもないし、特別子供が好きというわけでもなかった。
だがまぁ、小さな町でこの病院は必要不可欠であったし、他に進路もなく気づけば医者として後を継いで数年が過ぎていた。

主に来るのは近所のジャリどもで可愛げがないといえばウソであるが、注射をする時に泣きわめくのはやめてほしい。
注射を打たれたくなきゃ風邪をひくようなまねをするなと思うのだ。

そんな訳で、近所の子供の顔はほとんど知っていた卜部だったが、看護師に「初診の患者さんです」と言われた時には少々驚いた。

「どうぞ」と待合室に声を掛けて入ってきた子供を見た時もっと驚いた。

カルテにつづられた名前からして外国の子ではあるだろうなと思っていたが。

「（こりゃまたえらく別嬪な・・・っておい）」

卜部はカルテを見直す。
問診票には確かに男のところに丸印が付いている。

だが、このあたりで診てきたどんな少女よりもその子供は愛くるしい顔をしていた。

熱が高いのだろう、顔を赤くして目を潤ませているのを見ると変な気が起きそうな

「（って、しっかりしろ、俺。診察だ診察！）あー、保護者は？」

「いも、ぅとを・・・ケホッ、保育園に。また、むかえに、ごほっ来ます」

随分と苦しそうな咳をしている。
座らせて診察をするよりも寝かせた方がいいかもしれないと卜部は少年を抱えると診察台に寝かせた。

「そうか、たぶん風邪だろうけどな・・・こりゃ炎症起こしてるかもしれねえな・・・シャツのボタンはずすぞ」

プチプチとボタンをはずし、肌着をめくると聴診器を胸にあてた。

「ひゃぅっ」

「あ、冷たかったか…？」

「・・・ちょっと・・・」

まだ苦しそうに咳をしながら、だがびっくりしたことが恥ずかしかったのか小さな声で返事が返ってくる。

「ちょーっとだけ我慢してくれなー。」

聴診器で呼吸の音を聞く。
少し肺炎気味かもしれないな、とまゆをひそめてから再びボタンを留め治した。

「（それにしても、外国の子ってのはみんなこんなもんなのかねぇ・・・）」

自分に幼児趣味はなかったはずだが、と卜部はさっきから妙に変な気を起こしそうな自分に首をかしげながら点滴の用意をする。

「お母さんが迎えに来るまで、このベッドで寝てると云い。待合で座ってるのもきついだろ」

「すみま、せん・・・」

「いいっていいって、病人の病状悪化させちゃ病院の意味がねえからな。」

幸い今日はほかに患者はおらず、来るまでこの子供の話し相手になってても問題はない。


ツプと点滴の針を刺す瞬間、こらえるように顔をしかめる子供の顔を見て、ザわりと卜部は又奇妙な気分になる。

「（っつーか、その辺の姉ちゃんよか色気あるんじゃねえかこの子供）点滴が終わるまでの我慢な。今は痛かねえだろ？」

「はい、ごめんなさ・・・ケホッ」

先ほどから咳のひどい様子に、明日は腹筋が筋肉痛になるだろうな、なんてくだらないことを考える。
それからしばらくして、母親が迎えにきた子供を見送り卜部は「変わった子どもだったなぁ」と思いかえしながらカルテを見ていた。


ルルーシュ・ランペルージ


あまり体の丈夫ではないこの子供が、この病院の常連になるのはまた別の話。



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臣さんこれで許して下さい！