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気分の赴くままに好き勝手書いていきます。 なのでいきなりジャンルが増えたり減ったり、当面はギ.ア.スを中心にお送りしていきます。
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ルルの幼児退行ものです
っつっても10歳のルルの精神年齢ってかなり上の方だと思うので、幼児には見えないでしょうけど。
とりあえずお蔵だし2

それは・・・いろいろな不運が重なったのだとしか言いようがないだろう。


新入団員の中にリフレインを所持している団員がいた。
それも原液だ。
いったいどこから持ち込んだのか、どこから手に入れたのか。
一先ずゼロに相談すべきだろうと、扇は回収したそれをラウンジにある医薬品の棚に置いた。
幹部に、特に玉城には触らないように厳命して。
当然のように玉城は盛大なブーイングを漏らしていたが。
ラウンジには基本ゼロや幹部の面々しか来ないし、幹部のメンツにはそれを伝えたからと棚に鍵をかけなかったのが原因かもしれない。
はたまた、原液が見つからないようにと何の変哲もない瓶に移されていたことが原因かもしれない。

たまたまそれをみたC.C.が栄養剤か何かのたぐいだと思ったのも仕方のない話だろう。


実際ルルーシュはひどく疲れていたのだ。
学生生活にゼロとしての生活、加えて生徒会活動に黒の騎士団の活動。

少しばかりやつれた表情をしているルルーシュにC.C.が件の小瓶を差し出した。

「なんだ、それは」

「栄養剤だろう、下の棚に置いてあった」

「そうか・・・」

渡してきたのが共犯者であるC.C.であるということ、加えて基本的にラウンジの物資は幹部の中でもしっかりした面子が管理しているものだという・・・

そう、要はルルーシュは信用していたのだ、彼らを。
信頼には足らないが、信用していた。

以前のルルーシュならば考えられなかっただろう。

ルルーシュは瓶に口を当て傾けた。
喉の奥に流れ込む液体。
その嫌な味と匂いに(それは本当に微々たるものでしかなかったが)ルルーシュは咄嗟に瓶を投げ捨てた。

「なっ、んだ、これはっ・・・」

とっさに指を口に突っ込んで吐こうとするがそう簡単にもいかない。


「おいっ、どうした!」

流石にC.C.もただ事ではないと思ったのだろう。
転がった瓶をひっつかむとラウンジへと駆け降りた。

「おい!」

「あ、C.C.ちょうどよかった。ゼロは」

「これを飲ませたら倒れた!なんだこれは!」

瓶を見せられた扇が青ざめてC.C.の手から瓶を奪い取る。

「これ、そこの棚の中にあったやつか?!」

「そうだ、栄養剤かと思ったんだが」

「リフレインの原液だこれは!持ち込んだ団員がいたからゼロに報告しようと・・・って、飲んだのか?!リフレインを」

場が騒然となる。
これまでにリフレインを飲んだなどという話を聞いたことがないからだ。

医者(ラクシャータ)に診せようにもゼロが仮面をとる意思を見せない以上早々強硬手段に出ることはできない。

原液を薄めて注射する通常の使用方法でも回数が過ぎれば、ひどい中毒症状を起こし薬なしでは生きていけない体へと変えられてしまう。
その原液を飲んだなどと、一体どうなってしまうのだろうかと取るべき策を思いつけず、途方に暮れたように彼らは呆然としていた。


******

ゼロの顔を見ていいものかどうか分からず困惑する扇を緊急事態だから何かあっても口添えしてやると言って、C.C.は扇を引きずるようにしながらゼロの部屋へと戻った。
その際に付いてこようとした幹部は「ゼロの顔を見たら犯す」ととんでもない言葉を投げつけられて固まっていた。
いくらなんでも美少女と称されるような面立ちをした女性が使っていい言葉ではないだろう。


長ったらしいパスワードを叩いてC.C.が扉を開く。

扇はというと人命優先人命優先と念仏のように唱えていた。
プシュンッと機械音とともに扉が開きC.C.が駆け込む。

「・・・おまえ、無事・・・なのか?」

C.C.のその言葉に扇は顔を上げると部屋をのぞきこんだ。

「ぜ、ゼロ?無事なのか・・・?」

「・・・・・・ああ」

ほっ、とC.C.も扇も肩の力を抜く。
そこに立っているのはいつものゼロだった。
後ろ姿ではあったが。

「そういえば、毒に体はならしてあると言っていたな」

「・・・ああ」

「毒に?なんでそんなことを」

「そんな事を言う必要はない、出ていけ・・・っ。一人に、してくれ」


激情に駆られたところを見たことのない扇は戸惑いながらうなずき。
C.C.もさすがに今回は自分が原因であるとわかりきっているからだろう、どんな記憶を思い出したのか手に取るようにわかってしまって静かにうなずくと部屋を後にした。


「何事もないようでよかったよ。」

「精神は、そうでもないだろうがな・・・」

部屋の前から少し離れたところでC.C.は壁に背を預けため息をついた。
扇はえ?と振り返って立ち止まる。

「あいつとて、なにも機械でできた人形じゃない。リフレインなんかで思い出したくない過去もあるさ」

「リフレインは・・・幸せだった過去に浸る薬だろう?」

「だからこそ、現実に戻ってきた時が苦しい。それゆえに薬をやめられなくなる連中が後を絶たないんじゃないのか」

諭すようなC.C.の言葉に扇は「あ」と呟いて顔を伏せた。

「あいつの過去は・・・凄惨なものだ。一言では表せない。だからこそ今、お前に対してゼロの仮面をかぶりきれず葛藤している。自分の中の憎しみを抑え、殺し、再びゼロとしての仮面をかぶるために。」

「・・・夢に、浸り続けられたら・・・彼は幸せなのか?」

「浸っている間は、な。だがあいつも言ったように毒にも薬にもならされた体はあいつの意思に関係なくあいつを夢から引きずり戻すだろう。それが幸せなのか不幸なのか、私は知らん。」


***


そのゼロ、ルルーシュはというとゼロの仮面を投げ捨てマントを払い落し、洗面台についていた鏡を力いっぱい殴った。
だが鏡はみしりと嫌な音を立てただけで、ルルーシュの手を傷めるだけだった。

「ここは・・・何処だっ」

C.C.の憶測は半分当たっていた。
毒や薬に慣らされた体は夢に浸ることを許さず、精神を強制的に現実へ戻した。
夢の中にいた、幼いままの精神を。

もしかすると、17歳のルルーシュが戻ることを拒絶したのかもしれない。

原液をそのまま接種した故の副作用かどうなのかは不明だが。
そこにいるルルーシュにあるのは開戦直前までの、枢木神社にいたころの記憶までだった。

開戦したのだろう、とか攻撃された街の風景はなんとなしにおぼろげにある。
だがそれが現実のものなのかどうかはふわふわしていてよくわからない。

「ゼロとは何だ・・・っ」

鏡に映っているのは確かに自分の記憶にある自分の顔の面影を残した顔だった。
先ほど扉を開く気配にとっさにそばにあった仮面をかぶったが、それは正解だったらしい。

ブリタニア人らしい女性と、日本人らしい男性。

どちらも見たことのない人間だった。

 

ルルーシュは大きく息をつき、「落ち着け」と自分に言い聞かせ洗面所から出るとPCの前にある椅子に座った。

「ゼロ・・・とは、僕のことだ・・・あの二人は、部下か?僕は一体何をしている・・・。日本人がいるということは日本なのか?ナナリーは・・・何処にいる。あの二人に敵意はなかった、なら味方なのか?いや、仮面をしていることに疑問を持たなかったなら、そこまでの関係だ。」

ここはルルーシュの部屋、ということで間違いないのだろう。
ルルーシュはPCに向き直ると恐る恐るマウスを動かした。
今移されているのはチェスの戦略案・・・いや、これは

「被害・・・?死者数、・・・・・・これは、戦闘記録?」

傍目に見ればチェスゲームの攻略案や対策案に見える。
だが、そこにある自分の癖や意味もなく大文字にされているアルファベットに注目すれば、それが自分用にわかりやすく保存され記録されている戦闘記録だということがわかった。

「Knights of Black・・・黒の騎士達。」

パスワードを入力しなければその先のファイルを見ることはできなかった。
だが、いくら記憶が合致せずとも自分自身だ・・・。
ルルーシュはいくつか思いつくスペルを頭に思い浮かべ、その中でも自分とつながりの薄そうなものを打ち込んだ。

W I S T A R I A
* * * * * * * *

ロックが外れファイルが開かれた。
ルルーシュは一番上にあるファイルから順に開いて読み解いていく。

読み終わるのには1時間もかからなかった。

肝心な活動内容や、自分自身のことについては最初の方に書かれており、団員についてのデータも簡単に見つかったからだ。
先ほどの女と男、C.C.と扇は中でも自分に近しく。
何らかの力を引き換えにC.C.とは共犯者という関係にあるらしい。

だが、ルルーシュはその二人よりも、団員名簿の中にいた一人の男に目を奪われていた。
憧れて、焦がれてやまなかった人物。

今のルルーシュの記憶では、最後に会ったのがわずか数日前のように感じられてならない。
だがその男、藤堂鏡志朗についての備考欄には「ゼロに不信感あり」とされていた。
推察されるゼロというのは先ほどの仮面をかぶった自分のこと。

あこがれていたその男の欄に「不信感あり」と書かれているのが辛くてたまらなかった。

唯一優しくしてくれた彼だから・・・。


17歳の自分はこの気持ちを忘れてしまったんだろうか・・・。


10歳のルルーシュは17歳のルルーシュよりもブリタニアに対する憎しみは強かった。
そして17歳のルルーシュよりも心は弱かった。
そばにナナリーもスザクもいないさみしさもあいまって(一番信じたくなかったのは、親友だったスザクがブリタニア軍の前線でルルーシュの活動を邪魔しているということだった。)
ルルーシュは椅子の上に膝を抱え込むと一人膝を濡らした。
 

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