★ 盲愛

独白、藤堂サイドです。
ルルは愛することに戸惑いなんて覚えないと思うんですよね。
でも、愛されることに極端におびえる。
だからこそ懐広そうな人に守ってもらいたかったのにっ

藤堂心せまいぜ!

あ、鬼堂さんはもちろん心せまいです、超スケール小さいです!

愛してくれと血を吐くようにして叫ぶ子がいた。

傍にいてくれと声をからすほどに叫ぶ子がいた。

傷つきたくないとか細く泣くような声でつぶやく子がいた。


愛されることを極端に怖がっていた。
温もりが離れていくことにとても怯えていた。
誰かを信じることに戸惑っていた。

それでも人のぬくもりが欲しくて、細く頼りない手を必死に伸ばしていた。


普通の人が普通に望めるはずの望みでさえ口に出すことを憚って、怯えて・・・。

生きていくことさえも怖がっていた。


離れていかないで、と何度泣かせただろう。
愛してると囁いて、何度怯えさせただろう。




だが、それでも愛していた。

いつか伝わると信じていた。

決して離さないと、愛し続けていると。






悲しいことに・・・その想いだけは心に残っているのに、俺はそれが誰であったかを忘れてしまった。



愛してほしいと声に出さずに泣いていたのに、今はどうしているのだろうか。
まだ泣いているのか・・・それとも絶望して俺のことなど切り捨ててしまったか。




抱きしめることのできないぬくもりを求めて腕が空を切る。

呼ぶことのできない名前を求めて唇が音にならない息を洩らす。


顔も名前も声も何も思い出せないのに、残り続ける想い。

それはひたすら重く、そして・・・とても心地の良いものだった。