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一応これで月シリーズは終わりです。
でもまた書くかもしれません。
うーん、雪月花か花鳥風月で似たようなシリーズ作ろうかなぁ。
もとより白い顔はもう白いという表現さえ生易しいほどに、血の気を失った色をしていた。
この戦いのさなかで、再びギルフォードにギアスを使ったのだという。
そのうえラウンズにつけ狙われ、とどめを刺すかのように訪れたナナリーの死。
そして、朝比奈も死んだ。
いや、2人だけではない。
多くの団員や一般市民、ブリタニア人・・・多くの命が消えていった。
そこはルルーシュの部屋ではない。
藤堂が使い勝手の慣れた自分の部屋に運び込んだのだ。
そうして、ルルーシュはただ苦しげに眼を伏せて眠っていた。
あんな会議に参加させずに済んでよかった、と藤堂はまぶたにかかった髪を払いのけながらその血の気のない顔を見下ろしていた。
会議室で見せた羅刹のような面影はもうない。
藤堂は決して女性ではないが、例えるならばまさに鬼子母神といったところだろう。
「藤堂・・・さん?」
「、ああ・・・悪い。起こしてしまったか」
「いえ・・・起きたんです・・・。」
億劫そうに身を起こすのを手伝いながら、藤堂は肉づきの薄い骨ばった体に苦々しく顔をしかめた。
「藤堂さん・・・」
「なんだ?」
「朝比奈は・・・・・・帰ってきましたか?」
言葉に詰まった。
まさか、死んだ理由がゼロを信用できないが故の命令違反などと、ルルーシュは思いもしていないだろう。
隠匿と偽装は別物だ。
ルルーシュの場合それが過ぎる傾向はあるが・・・、ルルーシュはルルーシュなりに、精一杯譲歩できる範囲で団員たちを信用していた。
いや、今もしているだろう。
シュナイゼルが訪れ、まさかゼロが裏切ったなんて会話が繰り広げられていたなどと思ってはいまい。
「・・・帰って、来なかった。朝比奈も。他の団員も・・・。あの光の中にいたものは」
血を吐くような思いで言葉を返す。
認めたくないのだ、藤堂自身。
消えてしまったなどと・・・。
遺体がないから、いつものようにひょうひょうとした様子で帰ってくるのではないかと思う。
『あっぶない所でした、危うく死ぬかと思いましたよ』
なんて笑いながら。
だが、帰ってこない。
そして、ナナリーも・・・。
「・・れの、せいだ・・・あの時、撤退・・・していればっ」
「っちがう!君のせいでは」
「俺のせいなんだっ・・・なんで、おれはスザクを生かそうなんて思ったんだ、生きていてほしいなんて思ったんだ!生きろなんてギアスをかけなければ、あいつはっ!あんなものを撃ったりしなかったのにっ。何でおれは・・・一番大切なところで間違えるんだ、守れないんだ」
「ルルーシュ君、落ち着け。興奮すると体に障る・・・」
「だって、俺が・・・」
「君のせいじゃない・・・君のせいじゃないんだ・・・ルル。」
厳密にいえば、指揮官として判断を誤ったルルーシュのせいだ。
敵方にあるスザクを信用するという大きな判断ミス。
だがそれを誰が責められよう。
誰に責める権利があろうか、いや…あったとしても藤堂はそれらすべてからルルーシュを守りたかった。
だって仕方がない。
それらすべてを知ってなお、彼を愛してしまったのだから。
いや、愛していたのだ。
ルルーシュが年端もいかぬ子供であったころから。
藤堂はそっと呼吸を奪うかのように口づけをした。
ルルーシュに口づけをするのは幾度めになろうか、回数を重ねるごとに血の味が濃くなるキス。
唇を離し、藤堂はベッドに縫いとめるようにルルーシュに覆いかぶさった。
いつもそこまでだ。
藤堂がルルーシュを抱きすくめるだけで終わる。
どうせならば、忘れることができないほどに手酷く抱いてくれたほうがいいのに、とルルーシュは思いながら藤堂の背に腕をまわした。
「藤堂さん・・・」
熱のこもった声でルルーシュがそう呼ぶと藤堂はわずかに体を起して、また浅く口づける。
ついばむように何度も何度も繰り返され、与えられる熱にルルーシュは藤堂を求めてすがった。
「ごめんなさいっ・・・おれ、・・・俺のせいなのにっ・・・まだおれ、生きて・・・ど、せっ・・もう時間ないのにっ・・・ごめんなさい」
錯乱したようにわめくルルーシュを藤堂は強く抱きしめた、息がとまるほどに、骨がきしむほどに。
「ルル・・・泣くな。好きだ・・・生きていてくれ・・・死なないでくれ、置いていかないでくれ。」
藤堂の声も震えていた。
ミシりとルルーシュの体がきしんだ。
はっと藤堂が手を離す。
ルルーシュは息苦しさにあえぎながら、それでも藤堂にしがみついたままだった。
「ごめん、なさい・・・死にたくないくせに、俺は・・・あなたを置いて行くんだ。」
ルルーシュから藤堂に口づける。
血の味が濃くなったような気がして、藤堂は眉を潜めた。
その意味に気付いているのだろう・・・ルルーシュは苦笑する。
「俺は・・・ギアスであなたに・・・俺のことを忘れさせるべきだったのかもしれない」
「・・・ルル、まさか」
「でも、できなかったんです。だって、もう俺にはあなたしかいないんだ。だから藤堂さん、追いかけてなんか来ないでくださいね。おれが死んでも、自ら命を絶たないで」
そんなことを言うなと、藤堂は叫ぼうとした。
だが急に意識が遠のき、自分の意志とは関係なく唇から言葉が紡がれる。
その正体が何なのかわからないまま、藤堂のもとへ意識が戻った。
「・・・ルル、今何を?」
にっこりと、ルルーシュが艶やかに笑う。
「ゼロじゃない俺もいたんだと、忘れないで下さいって言ったんです。」
「当たり前だ。忘れられるものか」
藤堂の筋張った手がルルーシュの頬をなでる。
うっとりとルルーシュは目を細めてベッドに体を預け、上にいる藤堂を見つめた。
「大好きです、藤堂さん。これからもずっと・・・」
++++++++++
お付き合いありがとうございました!
これにて月シリーズは終了です。
いや、構想段階にあったエロパートは書いてないんですが、私がエロを書けないので・・・。
ちなみにこれ、タイトルの月下美人はまだ咲いていません。
エロパートで月下美人(ルル)が咲く予定だったので。
書く場合のタイトルも考えてはいましたが、やっぱりエロが書けないので、ここでおしまいになります。
ちなみにタイトルは「○○に咲く」ってタイトルの予定だったのですが、月下にするか残月にするかで迷ってました。
書けない今となっちゃぁ意味もなくなりましたが。
月光でルルーシュが藤堂さんに掛けたギアスは「後追いをしない」、でした。
うーん、なんかこの藤堂さんへたれてるなぁ・・・;
ルルも情緒不安定すぎて躁鬱状態。
でもいいんです。満足はしましたv
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京都に実家、福岡に在住している学生さんです。
福岡にオタク友達がいなくて偶に鬱々してます。
寂しいと死にはしませんが不貞寝します。
空を自由に飛びたいなぁなんて夢を持っています。
いつかパラグライダーかハンググライダーをする気でいます。
マイペース、ケセラセラを心情に頑張って生きています。
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