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気分の赴くままに好き勝手書いていきます。 なのでいきなりジャンルが増えたり減ったり、当面はギ.ア.スを中心にお送りしていきます。
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月光後篇です
あと、これ、19話につなげたくて作りました。
ルルの味方でいてくれる藤堂さんが欲しくて。

ホントそれだけです。



ルルーシュの話は到底まともには信じがたい話ばかりだった。
ルルーシュ自身自嘲の笑みをこぼし「信じられないでしょうね」と苦笑する。

どちらかといえば藤堂は「信じられない」のではなく「信じたくなかった」

だが口の中に残る血の味があの光景を夢だとは思わせてくれない。


「そのギアスという力を使うものはみんなそうなのか?」

「どうなんでしょうか、俺の場合は昔から体が弱かったということも関係しているかも知れません。」

「体弱いと分かっていて、ゼロになったのか?KMFに乗ればどれほど体に負荷がかかるか、分からない君ではないだろう・・・。」

「何も出来ぬまま散る花にはなりたくなかったんです。おれが死んだあとも世界は続く。ナナリーもあなたも生きている。だから俺は俺にできることをしたかった・・・。面白いくらい全部裏目に出て、ナナリーにまで手を振り払われてしまいましたけどね」

軽く笑って見せる姿が痛くて藤堂はこぶしを握りこむ。
ナナリーが、ルルーシュにとってどれだけ大切だったか知っていただけに、藤堂は掛ける言葉を見つけられなかった。
なんとかしてやりたいと思っても、藤堂にできることはない。

「(いや、ひとつだけ・・・)」

その言葉はルルーシュを傷つけるかもしれない、だがそれでも藤堂はルルーシュに自分の前でだけはなにも偽らずにいてほしかった。
仮面を外していても大丈夫だと思える居場所になりたかった。

「ルルーシュ君・・・」

「はい・・・」

「俺に、ギアスをかけてくれ」




「・・・え?」

ルルーシュの瞳に不安が宿る。
だが、藤堂は言葉をつづけた。

「ギアスは、一人に対して、一度しか使えないんだろう?だったら、なんでもいい。おれにギアスをかけてくれ。おれは、君が何も偽らなくていい存在になりたい。」

「い、嫌ですっ・・・藤堂さんに、ギアスをかけるなんて。」

「分かっている、君がそうしたくてそうして来たのではないことくらい。そうすることで君がまた心を傷つけることも分かっている。だが、俺は」

「そんな事どうだっていいです。そうじゃなくて、あなたの意志を・・・捻じ曲げるようなことはしたくない。もし命令を誤れば、あなたがそれを望まなくたって行使しなきゃいけない時が来るかもしれない。」

「俺は・・・君の望みなら・・・それが俺の望みでなくてもかなえたいと思う。」

「っばっかじゃないですか?!俺は・・・っあなただって気づいているでしょう!俺は片瀬少将を」

その先を言わせまいと藤堂はルルーシュを抱きしめる。
突然のことに驚いてルルーシュは藤堂の望み通り言葉を止めた。

片瀬の死に関してはゼロがやったのだろうと予測は付けていた。
だが、どちらにしても急速に力をつけ始めていた黒の騎士団だ、ゼロが手を下さずともいずれは桐原からの援助を絶たれ自滅していた。
それに、こう言ってはなんだが・・・確かに片瀬は一度は殉じて死のうとした相手ではあるが今はそれよりもその言葉を紡ぐルルーシュが自身の言葉によって傷つくのではないかと、そればかりが気がかりだった。
これ以上傷つかないでほしい。

あえて言うならば、藤堂の望みは・・・ルルーシュが傷つかないことだ。

「ルル・・・俺は、そうだと知っても尚・・・君の願いを、望みをかなえたいとそう思う。だから自分を追い詰めないでくれ。」

涙をこらえながら、ルルーシュは満身の力をこめて抱きしめられるまま藤堂の胸を叩いた。
悲しいかな衰弱した体力ともともとの鍛え方のせいで藤堂にさほどダメージはなかったが・・・それでもルルーシュの声なき慟哭は藤堂に伝わった。

「ルル・・・愛している。俺は、君が伝えてくれた思いを忘れたことはない。」



唐突に、ルルーシュの中で願いが決まった。
いや、狂おしいほどの藤堂の思いを受け止める覚悟をした時からその願いは漠然とあったのかもしれない。
ただ、それほどまでに思われているという自惚れがルルーシュには足りなかった。
だが、確信する。
藤堂が本当に己と同じ気持ちでいてくれるのだと。

「・・・わかりました。あなたに、ギアスを・・・かけます。そうすれば、確かに俺はあなたの前でもうこの仮面をかぶる必要はない。ギアスの暴走を恐れる必要も・・・。」

「ルルーシュ君、済まない・・・。」

傷つくのだと知っていながら、その道を選ばせる。
ゼロをやめろとも言えない己に歯噛みして、藤堂はルルーシュを見据えた。

ルルーシュがコンタクトを取り払うと、鮮やかな血の色をした瞳が藤堂を射抜く。


「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる」

そうして、赤い鳥を見て藤堂の記憶は途切れた・・・。





意識が浮上する。
藤堂が目を開くと少し離れたデスクで、窓から差し込む月光のうす明りを浴びて寝息を立てるルルーシュがいた。
体に異変は感じない。
いったい何を命令されたのか。
だが、なにもないところを見ると本当に他愛のないことなのだろう。

ソファで意識を失った己を放ってベッドへ行ってもよかっただろうに、体も辛いだろうにそうしないルルーシュにひどく申し訳ない気持を覚え、藤堂は悪いと思いつつ寝室らしき部屋を見つけるとルルーシュを抱き上げた。

「・・・軽い、な」

本当に折れてしまいそうなほど細く華奢な体。
藤堂はぎゅぅと腕の中で寝息をたてるルルーシュを抱きしめた。

「すまない、ルルーシュ君・・・」

それはいったい何に対する謝罪であったのか。
閉じたままのルルーシュの瞳から一雫、涙がこぼれおちた。



++++++++++

一応後編で区切りまーす。
あとは19話派生に持ち込みます。
藤堂さんにかけられたギアスもその時に。
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