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気分の赴くままに好き勝手書いていきます。 なのでいきなりジャンルが増えたり減ったり、当面はギ.ア.スを中心にお送りしていきます。
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シャルルん偽物警報なっております!
偽物も偽物!

イメージはホーエンハイムです。
茶髪の方です

ただの不器用なおっさんです
それでもよろしい方だけどうぞ











 

壮年の父親が家族から煙たがられるというのはどこの家庭でもありがちな話だ。
特にシャルルなどはしゃべり方もやや訛っていて特殊であるし、おまけに暑苦しいとよく言われる。
そうして、つい最近本当に養子手続きまでしてしまった少女ゼロとは一言も口をきいてもらえていない。
少女はというと「ここじゃないどこか」というあいまいな場所から来たというが、家族のほとんどはそれをどうでもいいととらえているのか・・・。
とにかく、3男のルルーシュとよく似た少女、ゼロはまるで生まれた時から家族だったかのように、自然と溶け込んでいった。

むしろ溶け込めていないのは、血の繋がっているはずの、父親であるはずのシャルルである。

マリアンヌが冷たいのは・・・いや無頓着なのは、いや無神経なのもいつものことだ。

上の息子娘はもう成人して半分は自立しているため、いまさら甘えろとは言わないが・・・せめて未成年の子供たちくらい。

そう思ったところで、シャルルはふと見覚えのある姿を見た気がして立ち止まった。
ちなみにシャルルは兄と共同経営の会社の社長をしている。
今日は会議もなく、先に帰っていいと言われて言われるがままに当てもなく歩いていたのだが・・・。

少し先の信号にいるのは、間違いなくゼロだ。
さらに視線をずらせば彼女の目線の先には図書館がある。
どうせ邪険に扱われてしまうが、どうせ見つけてしまったのだ。
声をかけるくらいいいだろう、とシャルルも足を図書館へと向けた。

 


「ゼロ」

名を呼ばれ、ゼロは振り返り思わず体を硬直させた。
シャルルがブリタニア皇帝のシャルルではないことくらいわかり切っているはずだというのに。
おまけに見た目も大分違うというのに、どうしても緊張してしまう。

父親と息子・・・今は娘だけれど、ゼロにはその距離感が分からない。
母との距離感も見失ってしまったけれど、ぎこちなくだがマリアンヌとは何とかやっていけている。

だが、シャルルの前に出ると言葉が出せなくなるのだ。
もしまたあの目を向けられたら・・・。
自分はどうすればいいだろうか・・・。

「最近よく出かけていると、マリアンヌが言っていたが、図書館に来ていたのか」

「・・・」

ゼロは目線をそらし、しばらくの沈黙ののちにゆっくり頷いた。
シャルルはというとやはり会話がないことに落胆していたが、それでも反応を返してくれることにホッとする。

帰れとも、あからさまに嫌がる様子もないのでそのまま後ろをついて歩く。
図書館など、来たのは久しぶりのことだ。
ゼロが足を向けたのは世界史のコーナー。
シャルルはあまり足を踏み入れたことはない。
そうしてゼロはいくつか本を選ぶと近くにあるテーブルに座った。

「向かいに座っていいか?」

ゼロはやはり言葉もなく小さくうなずくと分厚い年表を開いた。
事細か詳細に歴史の書かれている本など、そろそろ老眼鏡に頼らなければならないシャルルにとっては天敵も同然だ。
ルルーシュは迷うことなくページをめくって時々文章を指でなぞっていた。


「歴史が好きか・・・?」


「・・・・・・好き、とかそういうことじゃない」


そうか、とうなずこうとしてシャルルはハッ、と目を見開きゼロを見た。
ゼロも、自分自身に驚いたのか口を押さえてシャルルを見ている。
そうしてあわてて本へと視線を落とした。


耳が赤いのは照れているのか。


「俺、・・・が、知ってることと・・・わからないことが、あるから・・・」

ゼロもゼロで自然と答えを返せたことに驚きながら、続けて口を開いてみた。
ルルーシュであった頃は、シャルルとこんな風に話したことはない。
当然だ、相手は皇帝なのだから。

文字をなぞっているはずなのに全然頭に文章が入ってこない。

「私は、歴史は苦手だったな・・・兄さんの方が得意だった」

「・・・そう」

ぶつんっ


そんな風に会話が切れたのを感じてシャルルは何がいけなかったっ、と冷や汗を流す。
ゼロはというと、シャルルの双子の兄V.V.を思い出しながら眉をひそめていた。

V.V.は饗団の主で、ルルーシュにとって伯父であるはずだった。
だが、記憶の中にいるV.V.は子供のまま。
そして無機質で温度のない瞳。

彼は果たしてこちらでどんな存在なのか・・・。

まったく想像が出来ない。


「私は・・・計算を、している方が・・・好きだったな」


「・・・俺、も・・・数学の方が、・・・考えなくて済むし・・・」


ぼそぼそとまたゆっくり会話が始まる。
他愛のない、普通の会話。
こんな会話、ゼロはクラスメイトとしか交わしたことがなかった。
しばらくそんな風に、ぶつりと切れたり、またゆっくり話したりとしているうちに、ゼロは図書館へ来て、1ページも進んでいないことに気づいた。

ふぅ、と息をついて本を閉じる。

「・・・もう、いいのか・・・?」

「きょうは、これで・・・。」

その本を本棚へ戻そうとするゼロをシャルルは少し不思議そうに見る。

「借りないのか・・・?」

ここで読めないなら借りればいい、だが帰ってきたのは思いがけない返答で。

「カードが・・・作れなくて。」

また、ぼそぼそと返すゼロにシャルルはきょとんとした。
そして気づく。
図書館のカードといえど身分証明書が必要だ。
学校にも行っていないしもちろん運転免許を持っていないゼロが作れるはずもない。

シャルルはしまわれたばかりの本を本棚から取り、財布からカードを出す。

「これで、借りてくるといい・・・」

目の前にある厚い本と薄いカード。
皇帝に与えられたものはたくさんある、命や衣服、食事、住む場所。
だが、それらは直接与えられたわけではない。

ルルーシュは恐る恐るシャルルの手から本とカードを受け取る。
ずしりと、先ほどよりも重く感じるのはカード一枚分の重みのせいか。

「どうした・・・?」

「あ・・・いえ、その・・・・・・ありがとう    」

顔をちゃんと見れないままルルーシュはカウンターへと駆けていく。
シャルルも、初めての会話と、そして続く礼の言葉に舞い上がり、らしくもなくニヤニヤと笑っていた。
ちなみにそれを見ていたほかの利用者に援交か変態かとささやかれていたのは、また別の話。

 

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