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とりあえず、もしもの世界を終わらせようと思います
もし、C.C.の存在を見ていなければ、ルルーシュはゼロの話を信じることはできなかっただろう。
まるで罪を裁かれる罪人のように、ゼロはポツリポツリと言葉を紡いだ。
人型の戦闘ロボット、皇族、継承権争い、騎士。
どれもこれもまるでアニメか漫画の世界だ。
だが、ゼロが初めてルルーシュの家へ来た日、ゼロが来ていた服を思い出せば確かに、とどこか納得してしまった。
まるでコスプレか何かのようにしか思えなかった服だが、装飾につかわれていた宝石の類はどれもこれもガラス玉には見えなかった。
いや、コスプレでもガラス玉を使いはしないだろう、せいぜい塩ビか何かのビニールかプラスティックだ。
だが本当にそんな世界があるのだと仮定すれば、あの白い服に付けられていた装飾品の類もそれ相応の価値があるものだとわかる。
そして、否定しようとは思えなかった。
どこかいつも一歩線を引いた向こう側からこちらを見ていたゼロ。
まるで羨むように目を細め、慈しむように笑って。
よく似ているようで何かが違う、性別よりも何よりも。
夜中にひとり起きて泣きだすその姿を見て、なにも思わなかったわけではない。
殺した者たちのことを想っていたのだろうか。
殺してしまった、よく似た人物がいる世界で、裏切ったと言った者たちとよく似た人物がいる世界で、裁かれないことが苦しい。
人を殺すなど、ルルーシュにしてみればテレビのブラウンの中にあるニュースやドラマの話だ。
戦争などさらに遠い。
なんと声をかけていいか分からず、ただゼロがどこかへ行ってしまわぬよう、ルルーシュは手を握りしめつなぎとめるのが精いっぱいだった。
「頭が、おかしいと思うか?」
「いや・・・」
「なら」
「確かに非現実的でありえないとしか思えない。だが、妄想だけならお前はこんなに苦しんだりしないだろう?おまえのしたことは間違っていたのかもしれない。」
そう、戦争など遠い話だ。
やる方が下らない、とさえルルーシュは思う。
だが・・・
「・・・だが、あの女が言っていた通り、お前が正しいと信じて、お前が生きることを望んだ人たちもいるんだ。明日を望んだお前が生きていても、俺はいいと思う。」
「・・・る、ルーシュ」
戸惑いながら呼ばれた名前、ルルーシュはその響きにくすりと頬笑みを浮かべた。
「初めて呼んだな・・・俺の名前を」
「え・・あ、そうだった、か?」
「ああ・・・」
ルルーシュ・・・ゼロにとってその名前は罪に濡れた名前だった。
だが、この世界のルルーシュは違う。
自然と、呼ぶのを戸惑っていたのかもしれない。
「ルルーシュ・・・俺は、この世界で・・・生きていていいんだろうか」
「それを望むやつがいるなら、それでいいんじゃないか?」
「そうか・・・」
ジェレミア、咲世子・・・最後まで傍につき従った二人の姿が思い浮かぶ。
そして、願いを託した親友の姿も。
思い出すのが苦しかった人たちの姿が思い浮かんでくる。
だが、もう苦しくはなかった。
「俺の、名前も・・・呼んでくれないか?」
「・・・ああ、構わない。」
ルルーシュの唇が、まったく同じ名前を紡ぎだす。
紡がれた名前がひどく新鮮で、綻ぶ花のように笑うゼロにルルーシュも微笑を返した。
「さぁ、帰るぞ」
「あぁ・・・」
手をつないで歩く二人の影が月に照らされる。
魔女の瞳と同じ色をした月は、ただ静かに二人を見下ろしていた。
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福岡にオタク友達がいなくて偶に鬱々してます。
寂しいと死にはしませんが不貞寝します。
空を自由に飛びたいなぁなんて夢を持っています。
いつかパラグライダーかハンググライダーをする気でいます。
マイペース、ケセラセラを心情に頑張って生きています。