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「帰ってない?」
「ええ、ルルーシュと一緒かと思ってたんだけど。」
マリアンヌにゼロはどうしたのかと聞かれ、ルルーシュは眉をひそめた。
生徒会で随分と遅くなりもう7時を過ぎている。
ルルーシュが学校を出たのはまだ日のあるうちだった。
それがまだ帰っていないとなると・・・
「ちょっと探してきます。もしかしたらほかの生徒に誘われてどこかで買い物でもしているのかもしれない。」
「そうね、じゃああんまり遅くなるようだったら電話を頂戴」
「はい、行ってきます。」
そうは言ったもののルルーシュは、ゼロが誰かクラスの誰かと一緒ということは考えられなかった。
だとすると・・・
「・・・元いた所へ帰ったのか?」
だとしても何か一言くらいは残すだろう。
もうずいぶん経つのだから今更迷子ということもあるまい。
迷子だとしても何かしら連絡をよこしてきてもいいはずだ。
こちらから掛けても全く出る気配はないが。
「どこへ行った・・・」
もう一度電話を掛けようかとルルーシュが足をとめようとしたとき、誰かが目の前にいることに気づいた。
「あ、すみません」
その人影を避けようと止めようとした足を再び動かそうとした瞬間。
顔をあげた相手の金色の瞳にルルーシュは金縛りにあったかのように動けなくなった。
「・・・すみません、か。境界線一つ越えるだけで、ずいぶんと殊勝になるものだな」
続いて視界に映ったのは目に痛いほど鮮やかな緑の髪。
普通に考えて遺伝子的に難しすぎる配色だ。
「だれだ・・・」
「ふっ、その方がお前らしいよ。ルルーシュ」
名前を呼ぶ少女にルルーシュはゼロの関係者だと察した。
「誰だ、お前は。」
「あいつを、この世界に連れてきた魔女さ。」
「・・・連れて帰るのか?」
問いかけると、魔女と名乗る少女は黙って目を伏せ、首を横に振った。
「連れて帰ったところで・・・あそこにあいつの居場所はない。あいつは・・・」
「C.C・・・?」
信じられないものを見たようなその声は自分のものではない。
だが、聞き慣れた自分の声によく似たその声の持ち主を、ルルーシュは一人しか知らなかった。
「ゼロ!」
「・・・あ・・・えっと」
「やぁ、なかなか似合っているぞセーラー服。やはりマリアンヌの子だな。」
「C.C.・・・なのか?」
「ああ、お前の魔女だよ。私の魔王」
何故C.C.がここにいるのか分からない。
だが、自分の存在を唯一証明できる、自分がゼロではなくルルーシュだったのだと証明できる存在。
それが目の前にいることに無意識のまま、ゼロはゆっくり手を伸ばし触れようとした。
―スカッ
「あぁ、ちなみに私は実体ではないからな、なんだホームシックか童貞坊や。いや、今は処女か。」
「~~~~~~こ・・・のっ、魔女があっ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶゼロの姿など、ルルーシュは初めて見た。
不思議な、実態のない魔女とゼロがルルーシュを放ってぎゃいぎゃいと何かを言い合っている。
「ゼロ・・・?その」
「あ、・・・こいつは」
「知り合い、なんだな?」
「あぁ・・・、どうしてここにいるのかは知らないが・・・。」
ゼロがそういってふたたびC.C.へと目線を向けるとC.C.は実に横柄なしぐさでゼロを眺めた。
「お前の様子を見ていただけだ。」
相変わらずの不遜な態度。
それがひどく懐かしい。
「・・・C.C.、どうして俺をこの世界へ連れてきた。」
「お前を生かしてはならないと、お前は命令しなかっただろう。」
「C.C!!」
ルルーシュだけがその場に取り残されている。
魔女を名乗る少女がこの世界へゼロを連れてきたのだということはわかる。
だが、生かしてはならないというのはどういうことなのか。
命令ということは、それなりの地位をもっていたということだろうか。
「お前と二度と会えずとも、お前に生きていてほしいと願う者たちがいる」
「だが、俺は・・・」
「誰もお前を責めないこの世界が苦しいか?」
実体がないはずのC.C.から威圧感を感じて、ゼロはよろめくように後ずさる。
「この世界のだれもお前を憎まない、怨まない。お前を知らないからな。この世界の、誰もお前を知らない。それが、こわいか?」
「うるさいっ!!」
「おい!いい加減にしろ!」
咄嗟にルルーシュはC.C.の言葉を遮ろうと肩をつかもうとした。
だが、当然その手はすり抜ける。
「ほぉ・・・自己愛か?」
「あいにく、そこまでナルシストになった覚えはないな。ゼロ、こっちへ来い」
ルルーシュは今度こそ遠慮なく、まっすぐ手を伸ばしC.C.の体を突き抜けゼロの腕をつかんだ。
「帰るぞ。こんな女に付き合っていられるか」
「あ、ま、待て!」
実体がないとはいえ体を突き抜けられられるのは気分がよくないのだろう。
あからさまに顔をしかめてC.C.は振り返りルルーシュを振り返る。
「レディーの体に失礼だとは思わんのか?」
「レディーというならば、それらしい振る舞いをして見せろ。ゼロ帰るぞ、母さんが心配している。」
「あ・・・えっと、C.C.」
隣同士で並んでいるにもかかわらずその表情には明らかに差がある。
しばらくそれを難しい顔で見ていたC.C.だったがやがて表情を緩めると二人に背を向けた。
「ルルーシュ・・・この世界はお前を知らない。だからお前に厳しくも優しくもある。だが、それでもどうしてもこの世界にいることが辛いなら、お前を迎えに来よう。」
まるでその時間が夢のようにC.C.はいつの間にかに目の前から消えていた。
「・・・ゼロ、お前が話してくれるまで俺は何も聞かないつもりだった。」
「だろうな・・・」
話さなければ、ならないだろうなとゼロはあきらめの気持ちでゼロの手を握り返した。
「話そう・・・俺のことを」
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福岡にオタク友達がいなくて偶に鬱々してます。
寂しいと死にはしませんが不貞寝します。
空を自由に飛びたいなぁなんて夢を持っています。
いつかパラグライダーかハンググライダーをする気でいます。
マイペース、ケセラセラを心情に頑張って生きています。