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気分の赴くままに好き勝手書いていきます。 なのでいきなりジャンルが増えたり減ったり、当面はギ.ア.スを中心にお送りしていきます。
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もしもの~にちょっとシリアスを加えてみました。
長いです、ドロドロです

あののんきな空気はどこ行ったって感じです











 

皇帝が、ルルーシュが死んでちょうどひと月が過ぎた。
世界は平和で、黒の騎士団の多くの団員は何も知らないままゼロの帰還を喜んでいた。

幹部の多くは戸惑いのまま・・・後悔を抱くもの、間違っていないと信じる者、様々だった。
カレンは・・・迷っていた。


どうすれば、もう死んでしまったルルーシュに償うことができるのか。


スザクも・・・自分を殺してゼロとして生きている。
もともと扇グループだった面々は、これまで苦労した分、これからは普通に生きろという。

それを拒む理由を見つけられず、カレンは1年前と同じようにアッシュフォードに通っていた。

ほとんどの生徒は、カレンを英雄と讃える。

だが、OGとして訪れてくるミレイやリヴァルの視線だけは違った。
彼女たちは分かっているのだ。
ルルーシュが何を守り、死んでいったのか。

だからこそ、二人だけはカレンを称賛したりしない。
ただ、冷めた目でカレンを見て視線をそむける。

本当のことを言わなければならない、だがそれはルルーシュの望みではない。
何より・・・怖いのは「今」が壊れること。

誰も真実を知ることを望んではいないと自分に言い訳して現状に甘えている。


「ルルーシュ、どうしてあなたは」

 

「カレン」

背後から掛けられた冷たい声に、カレンは背中を震わせた。
ゆっくり振り返ると、これまでにないほど冷たいまなざしをしたミレイがたっていた。


「貴方は、まだそんなことを言ってるのね・・・。いつもあなたは知ろうとしない、教えてもらえるのを待ってるだけ。」

「・・・会長」

嫌な汗が背中を伝う。

「逃亡したゴッドバルト卿にお会いして・・・ギアスキャンセラーというものをかけてもらったの。・・・すべて、思い出したわ」

「キャンセラーって・・・会長にもギアスが?!」

「私だけじゃない、リヴァルや去年までこの学園に通っていた生徒みんな」

ルルーシュは、そこまで?
いや、だがなぜ掛けたのかが分からない。
彼女たちはカレンのようにレジスタンスをしていたわけでもなく何か無理やり聞かれなければならないようなことなどないはず。

「98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアが私たちの記憶を操作していた。」

「っ・・・皇帝もギアスを?!」

何も知らないのね、というようにミレイの声が一層冷やかなものになる。

「私とルルーシュさまはただの学友、ルルーシュ様はごく普通の貴族の家にお生まれになって、ご両親を亡くされ、アッシュフォードに身を寄せた・・・。私の記憶はそう書き換えられたの。」

次の瞬間には、氷のように冷たかった眼差しが憎悪を宿していた。

「・・・あなたたちにとって、ルルーシュ様は裏切り者でしょうね。私はっ、私とあなたたちが憎い!」

「かい、ちょ・・・」

「確かに今の世界はルルーシュ様が選んだものなのかもしれないっ!けれど、私はこの世界と貴方達を呪うわ!私たちアッシュフォードから至宝を奪ったこの世界を!!黒の騎士団を!!」

いつも笑っているイメージしかなかったミレイが、怒りに顔を歪めている。
カレンは、そのことが恐ろしくてたまらなかった。

「どうして、私は学園を出たりしたのっ!ルルーシュ様を傍でお守りすると誓ったのにっ!!こんなことなら、何が何でもルルーシュ様をお止めするべきだったっ!」

世界が憎いと、カレンが憎いと、黒の騎士団が憎いと、己自身が憎いと慟哭するミレイ。不意に、ミレイはジャケットの内に手を入れ、黒く重く光る銃を取り出した。
迷いなくその銃口はカレンに向けられる。

「・・・ここで、あなたを撃つことはさぞかし簡単でしょうね。そして、どんなに気持ちが楽になるかしら。不忠の家臣と呼ばれてもいいッ!あなたたちを、殺してやりたいっ」

ミレイの手から銃を奪うことなど、カレンには簡単なことのはずだった。
だが、体が動かない。
呼吸することが痛いと感じる。

「でも・・・・・・ルルーシュ様は、望まない。たったひと時といえど、争いのなくなったこの世界を壊すことを。」

「会長・・・私」

「・・・C.C.という人が、教えてくれたわ。」

聞き馴染んだ、そしてルルーシュとともに黒の騎士団を去って行った少女の名前にカレンはどきりとする。

「ルルーシュ様・・・Cの世界を超えた、さらに先の世界にいるって」

「先の、世界?」

「こことは違う世界、本当にあるのかどうかも分からない・・・でもね、ルルーシュ様、その世界で笑ってるって。幸せに暮らしてるんだって。」

ボロッとミレイの瞳から涙がこぼれた。

「ルルーシュ様は、この世界で・・・マリアンヌさまが亡くなられて以来心から笑うことなんてなかったわ、この学園で暮らしてるときだって、いつも心のどこかでおびえていらっしゃった。」

あとからあとから頬を伝う涙が地面を濡らしていく。
それでもミレイの瞳はまっすぐカレンを射抜き、銃口はカレンの額へ向けられていた。

「カレン・・・どうしてルルーシュ様はこの世界で笑えなかったの?どうして傍にいたのにルルーシュ様を守ってくれなかったの?ねぇ、どうして?!!」

「・・・ごめんなさい、会長」

「謝るくらいなら、ルルーシュ様を返して」

ミレイの指が引き金を引いた。
頬に熱を感じて、カレンは恐る恐る手を持ち上げる。
ほんの僅かに掠っただけの弾は、頬に深い切り傷を作っていた。
ぬるりと濡れた感触。

戦場を離れて、もう嗅ぐことはないと思っていた血の匂いが鼻をくすぐった。

「殺さないわ、カレン。でもね、覚えておいて。世界中の人があなたたちを英雄と呼んでも、私はあなたのしたことを知っているって。」

ミレイは銃を服の内にしまい、カレンに背を向けた。


カレンは金縛りから解かれたかのようにその場にへたり込む。


「(どうして・・・こんな時に思い出すの・・・)」


『あきらめるな!必ず助けてやる!』


一度は見捨てたのに・・・それでも必死に、助けると叫んだ声。

「(どうして・・・わたしはいつも・・・)」


気づくのが遅くて、後悔する。


*****

 

「ゼロ?」

ベッドの上で寝ているはずのゼロの姿が見えず、ルルーシュは部屋の中を見回した。
先ほどまで寝ていたせいだろう、ほんの少しの明かりがまぶしい。
よく見ると、カーテンを開けて月明かりを受けるゼロがそこに立っていた。

「ゼロ、どうした・・・眠れないのか?」

「・・・いや、ちょっと・・・夢を見ただけだ」

まったく同じ背恰好で、けれど少しゼロの方が小さく感じるのは女性だからか、自分の知らない何かがあるからか。

「なぁ・・・この世界は、優しいか?」

「・・・どうだろうな」

「俺が、いなくなれば世界は優しくなると思ったのに・・・まだ、世界は優しくない」

細く、涙の筋がゼロの頬をなぞる。

「お前がいるからこそ・・・やさしくなる世界だってあるんじゃないのか?」

自分の顔を撫ぜるなんて不思議だな、と思いながら、ルルーシュはゼロの涙をぬぐった。

「そんな世界・・・何処にもないさ」



 

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