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ルルーシュがゼロの異変に気付くのに、そう時間はかからなかった。
ゼロがルルーシュの元へ来てしばらくは見せていた笑顔がだんだんと硬質的なモノへと変わった。
いつからだろうかと思案すれば、そう・・・学校へ来るようになってからだろうか。
その前日までは確かに普通に笑っていた。
妙な夢を見て夜中に起きだすようになったのも学校へ行き出してからだろうか。
ゼロ
「そういえば・・・あいつ」
俺の名前を呼んだことがない・・・。
*****
生徒会があるというルルーシュを置いて、ゼロは先に学校を後にした。
客観的にみると、自分の顔は本当に女性受けするのだな、とわかる。
そして、この世界には他にもゼロの知っている顔ぶれがいた
たとえばミレイ。
彼女はやはり生徒会長だった。
そして、やはりルルーシュは副会長をしていた。
この世界はゼロの世界とよく似て、それでいて優しすぎて、ゼロにはつらかった。
町で知ったような影を見て振り返れば、そこにはゼロを知らない、ゼロを知っている人物がいるのだ。
学校へ行けば、リヴァルがいる、同じクラスの中にカレンもいた。
教師の中には扇の姿もあった。
あんなにも憎々しくこちらを睨みつけたものと同じ顔とは思えないほど、普通に話しかけてくる。
学校の中も家の中も怖くてたまらなかった。
世界の中に自分の居場所も価値も見つけられなくて。
優しい世界の中に自分だけが異分子として黒く浮いている。
ルルーシュは世界を憎んだりしていないだろう
マリアンヌもシャルルも、嘘のない世界を望んだりなどしていない。
カレンも普通の少女だ。
扇も銃を持ったりなどしたことないだろう。
この世界ではそれが普通なのだ。
ゼロはクロヴィスを殺した。
ユーフェミアを殺した。
ナナリーにもスザクにも否定された。
両の手では決して数え切れないほどの人間を殺し、扇たち日本人を利用してブリタニアを壊そうとした。
間違っていた、とは思わない。
何度あの世界で同じ生を繰り返そうとも、ゼロは同じ選択をするだろう。
だが、だからこそこの世界で自分が異分子なのだと見せつけられる。
「あれ、ルルーシュ・・・じゃなくて、ゼロ?」
高めの声にゼロは固まった。
すぐそばのショーウィンドウに目線だけを向ける。
「ゼロ?ルルーシュ君だろう?」
「あ、藤堂師匠。この前転入してきたルルーシュの双子の妹らしいんですよ」
「ルルーシュ君に双子の妹がいたのか・・・」
「俺も初耳だったんですけどね。」
ショーウィンドウの中に映る姿にゼロの顔がこわばる。
大切だったはずの幼馴染と、優しかったはずの人。
そして二人を壊した自分の顔。
「ねぇ・・・ちょっと、顔色悪いけど」
「そうだな・・・車を取ってこよう、家まで」
そこにそれ以上いるのが怖くなりゼロは振り返りもせず雑踏にまぎれるように走り出した。
「あ、ちょっと!!」
この世界のだれも、ゼロを憎まない。
ゼロがしたことを誰も知らない。
この手がどれだけ黒く汚れているか、どんなに醜く世界を憎んだか
誰も知らない
だから、誰もゼロを責めない。
(誰も・・・・・・俺を知らないっ・・・俺は)
雑踏が途切れ、同時に目の前を車がクラクションと共に勢いよく通り過ぎた。
運転手の罵声が耳に届く。
息を切らし、ルルーシュはあたりを見回した。
見たことのない街。
見覚えのない人々。
KMFもブリタニアもない世界・・・。
「俺は、誰なんだっ」
この世界にそれを教えてくれる人はいない。
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福岡にオタク友達がいなくて偶に鬱々してます。
寂しいと死にはしませんが不貞寝します。
空を自由に飛びたいなぁなんて夢を持っています。
いつかパラグライダーかハンググライダーをする気でいます。
マイペース、ケセラセラを心情に頑張って生きています。