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せいぜい月の光を浴びるがいいよ。
月に反射した死んだ光を浴びて私たちは少しだけ生きるのを止めるのさ。
月の光の中でだけ生き物は生命の呪縛から逃れることができるんだ。
魍魎の匣に出てくる一節の抜粋?です。
ちょっと文章は変えてありますが、まぁそんな話。
もともとあんまり体の丈夫でないルルがギアスの使い過ぎで体に負荷をかけて、もう実は余命幾ばくか、って話です。
なんか、それでも明日が欲しいっていうルルの言葉に悲しくなって思いついたのがこれ・・・。
管理人、こういう意味で藤堂さんとルルをいぢめるのが好きらしいです。
時間軸不明。
書きたいから書いたんです!
「藤堂さん、覚えていてくださいね」
くるり くるり と月光の下で踊るルルーシュは、昼間の具合の悪さが嘘のように身軽だった。
「僕という子供がいたことを。」
月の光に照らされて、ルルーシュは儚く笑った。
藤堂は咄嗟に駆け寄り恐る恐るルルーシュの前に跪くとその小さな体を抱きしめた。
「そうして、忘れないでくださいね・・・皇子じゃないルルーシュもいたことを」
ルルーシュもすがりつくように藤堂の首に腕をまわしてその肩に顔をうずめた。
泣きはしない。
泣いたって意味がないことを知っているから。
だが、藤堂は泣いていた。
こんな世界にだれがした、と。
そしてそんな世界を受け入れている子供が悲しくて、藤堂は声を殺しルルーシュを抱きしめたまま泣いていた。
ルルーシュは天上に輝く月を見上げて目を閉じる。
「大好きです・・・藤堂さん。これからもずっと。」
*****
薄暗い通路で蹲る影を見つけたとき、藤堂は誰かが具合を悪くしているだけなのだと思った。
時折苦しげに咳込む様子も見せる。
あまり良くない咳だ・・・。
藤堂はそっとその人物に近寄り目を見開いた。
濡れたようにつややかな黒い髪。
その傍らに置かれた仮面は明らかにゼロのものだ。
「ゼロ・・・」
びくんっとゼロの肩が跳ねた。
咄嗟に藤堂はゼロの仮面を自分の腕に抱え込み、かの人の肩に手をかけた。
顔を見たいなどという他意はなかった。
単に総司令であるゼロが病を抱えているなどとあってはならない、すぐにラクシャータに見せるべきだと、その前に具合をうかがいたいとそう思っただけだった。
「ゼロ、どうかしたのか・・・?具合が悪いならラクシャータに」
「なん、でもな、い・・・向こうへ行ってくれ」
「何でもないわけはないだろう、他言はしない、とにかく今は」
ぐいと肩を引いて、藤堂はあらわになったその素顔に息をのんだ。
口元を彩る鮮血とそれ以上にみずみずしく揺らめくアメジストの瞳。
「・・・・・・ル、ル?」
何か言おうとゼロ、ルルーシュが口を開いだ。
だが、それよりも先に身を固くすると再び咳込みごぷりと口から鮮血があふれ出る。
「みな・・・ぃで・・・とうどぉ、さ、ん・・・みない、で」
ぜいぜいと息を堰切らしながらルルーシュはそう呻く。
呼吸は短く荒い。
もう血を吐くほどにひどい咳はないようだが、コンコンと空咳を繰り返す。
「ルル・・・」
ルルーシュからまともな言葉は返ってこなかった。
ただ、「ごめんなさい」と幾度か繰り返される。
抱きしめた体は細く折れてしまいそうだった・・・。
「ごめんなさい・・・藤堂さん・・・逢わないでいようって・・・死んだままでいようって思って」
それ以上聞きたくなくて藤堂は発作的にルルーシュの唇をふさいだ。
思わず眉をひそめる。
ルルーシュの口の中は生臭い、鉄の味がしていた。
ぬるりと生暖かいのは唾液のせいだけではあるまい・・・。
「俺は、君に会いたかった・・・」
「っ藤堂さん・・ごめんなさ」
放したばかりの唇をまたふさぐ。
藤堂の唇も赤く染まる。
「聞かせてくれ、君のことを。」
藤堂のその言葉に、諦めたようにルルーシュは瞠目した。
だが、こんな通路の真ん中ではまずい。
藤堂はルルーシュにひとまずゼロの仮面をかぶせ、体を支えるようにして歩きはじめた。
++++++++++
前後篇か全中後篇です。
いつか分からないけれど必ず終わりがあると分かる物語。
そんな感じのを書いてみたくなりました。
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京都に実家、福岡に在住している学生さんです。
福岡にオタク友達がいなくて偶に鬱々してます。
寂しいと死にはしませんが不貞寝します。
空を自由に飛びたいなぁなんて夢を持っています。
いつかパラグライダーかハンググライダーをする気でいます。
マイペース、ケセラセラを心情に頑張って生きています。
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